[土木写真展]
技術造形家の仕事を訪ねて


監修——篠原 修 撮影——三沢博昭・西山芳一


土工協では、機関誌『建設業界』の表紙・グラビアを飾り好評を得ている写真をパネルにし、全国の50か所を超える地域で土木写真展を展開しています。
エンジニアアーキテクト
技術造形家の仕事


道を拓いて橋を架け、トンネルを掘って鉄道を通じ、堤防を築いて洪水を防ぐ。
 
土木の仕事とはまことに泥臭く、人の目につかない地味な仕事だ。

水を引いて川を潤し、土地を区画して「まち」をつくり、波を防いで港を築く。

土木の形とは時に荒っぽく、ともすれば無愛想だ。

しかしこうやって、我々の先人たちは営々と田畑を拓き、川を治め、都市をつくってきた。

明治になると、その仕事は一層厳しいものになった。欧米の一等国に追いつくために、都市と国土を近代化するために、全く知らなかった西欧近代技術を大急ぎで吸収しなければならない。懸命の努力の成果は、明治末から大正、昭和にかけてようやく花開く。緑豊かな表参道ができ、地下鉄に乗ってモボとモガが銀プラを謳歌する。また、隅田川には壮麗な永代橋、清洲橋が姿を現わし始める。

洪水を防ぐ荒川放水路が、都市生活を便利にする。地下鉄銀座線が、帝都復興事業の都市改造が、つまり汗臭い、地道な土木の仕事の積み上げが、東京の街と人々の生活を一新したのだった。豊かな土壌がなければ、華麗な花はけっして開かないように。

五十年、六十年、いや八十年の歳月を経て、それらの橋は、道は、また放水路の水辺は、今僕たちの目にどう映っているだろうか。真摯ではあるが何の飾り気もない、技術と社会に忠実であろうとして自分を押し出そうとしないエンジニア(技術者)たちの仕事。

僕たちは冷静に考えてみなければならない。時代を追い、先端を競うデザイナーの作品と、寡黙なエンジニアの仕事とを。そのいずれが息が長い本物であるかを。二十年、三十年、いや百年のタイムスパンで冷静に考えてみなければならない。僕たちの子供や孫のためにも。

恣意的な形、目新しい形、マスコミ受けのする形を潔しとしないエンジニアの仕事のほうがむしろ、時代を超えて人々に愛され続ける本物の形ではないのかと、僕たちは謙虚に自問しなければならない。

ここに展示するエンジニアの寡黙な仕事が我々に今、そう語りかけてきはしまいか。彼らこそが技術者でありながら実は息の長い造形家(ア−キテクト)ではなかったのかと。

僕もまた、その伝統を受け継ぐエンジニア・アーキテクト(技術造形家)の一人でありたいと願う。寡黙なエンジニアとして、また、愛され続ける形を生むアーキテクトとして。

篠原 修(東京大学・教授)


マークパネルリスト

「近代土木遺産」パネルリスト
1.稚内北防波堤ドーム 2.小樽運河 3.奥沢水源地ダム 4.札幌大通公園
5.日本製鋼所室蘭製作所 6.笹流ダム 7.軍用水道堰堤 8.藤倉ダム (重文)
9.安積疏水十六橋水門 10.大河津分水 11.万代橋 12.大間港
13.黒部川第二発電所 14.旧碓氷線第三橋梁 15.牛伏砂防 16.東京駅
17.日本橋 18.常磐橋 19.弾正橋 (八幡橋・重文) 20.聖橋
21.永代橋 22.豊海橋 23.勝鬨橋 24.四谷見附橋
25.千登世橋 26.地下鉄銀座線 27.村山貯水池 28.羽村取入口
29.川崎河港水門 30.山下公園 31.桃介橋 (重文) 32.読書発電所 (重文)
33.松重閘門 34.小川橋 (流され橋) 35.ケレップ水制 36.逢坂山トンネル
37.水路閣 (国指定史跡) 38.大江橋 39.布引五本松ダム 40.神子畑橋 (重文)
41.余部鉄橋 42.豊稔池ダム 43.南河内橋 44.三井三池炭鉱
45.旧佐賀線筑後川橋梁 46.本河内高部ダム 47.邪馬渓橋 48.白水ダム
49.三角西港 50.森の川樋川    


「現代のプロジェクト」パネルリスト(工事中写真)
釧路港液状化対策 環状7号道路地下河川 明石海峡大橋
久慈地下石油備蓄基地 東京湾横断道路川崎人工島 中国横断自動車道身延橋
秋田自動車道添川高架橋 東京湾横断道路木更津人工島 多々羅大橋
上信越自動車道神川橋 川越火力発電所桟橋 温井ダム
レインボーブリッジ 大阪南港トンネル沈埋部築造 雲仙普賢岳砂防事業


マークこれまでの主な開催地

開催年月 開 催 地
平成8年2月 東京駅丸の内北口ホール
8月 北九州市門司港旧税関記念館
9月 岡山駅イベントスペース
9月 博物館明治村
平成9年9月 東京駅丸の内北口ホール
10月 大阪駅中央口 あい・ビジョンおおさか
11月 札幌市 大通地下街オーロラプラザ
11月 沖縄県庁
平成10年11月 熊本県庁・下通アーケード・市役所
11月 旭川市 アッシュアトリーム
12月 函館市役所 市民ホール
平成11年7月 千葉市・幕張メッセ
10月 室蘭市・道の駅「みたら室蘭」白鳥大橋記念館
11月 佐世保市・「ふれあいセンター」市民ギャラリー
11月 長崎ブリックホール・ギャラリー
11月 沖縄県庁・ホール
平成12年2月 大牟田市文化会館展示室
3月 函館市役所市民ホール
7月 NHK札幌放送局1階ギャラリー
8月 NHK福岡放送局ミニギャラリー


マーク写真パネルを貸し出しいたします。詳しくはメイルe-mailまたはお電話で(TEL 03-3552-3201 広報部)お問い合わせ下さい。


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