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「働く人」=「WORKMAN」 建築の世界で働くさまざまな人を紹介していきます。



「オリックス西本町1丁目ビル」は、「新しい“しくみづくりとモノづくり”」をキャッチフレーズに、ハード面、ソフト面ともにオフィスビルとしての新しい試みを行っている。その中で、特に技術面で特徴的なものを紹介する。

センターコア躯体先行構築

ほぼ正方形の同ビルは、階段やエレベーターが中心部(コア部分)に集中している。このコア部分を3階分だけ先に作り(RC造)、後から外周を作っていく(SRC造)、センターコア躯体先行構築が採用されている。
この工法のために「足場付き自動昇降型枠(dokaシステム)」を導入。コア部分を先行して施工していく際に大いに活躍した。

従来、超高層ビルでは、大空間を造りやすいS造+制震構造が採用されることが多かったが、RC造+免震構造とすることで、耐震性の向上、工期の短縮、コストダウンを図った。コア部分をRC造とすることは、海外の超高層ビルでは多く導入されている手法だが、国内ではまだほとんど見られない。dokaシステムの導入は、土木構築物以外での使用は日本初である。


「足場付き自動昇降型枠」(写真黄色部分)を使ってコア部分を3階分先行して造っていく。

センターコアRC耐震壁構造

センターコア部分をRC造による耐震壁構造とし、外周部には3.2m間隔の列柱形式を採用することで、免震構造に必要な剛性を確保しながら、耐震構造の集約化を図り、柱型の出ないレイアウトフリーなオフィスフロアを実現した。

また、外周部を3.2mの列柱形式としたことで、熱負荷が約40%低減でき、環境にも配慮した。

石打ち込み躯体PCa構造部材の開発

石打ち込み躯体PCaは、大地震による躯体の変形により、石が割れる可能性がある。そこで、免震構造の採用により、大地震時の建物の変形を小さくし、その変形に追従できる石の裏面処理方法を開発、有効性について実大実験により確認を行った。

免震構造

超高層免震マンションで蓄積した免震技術を活かして「安全」「安心」を確保。建物への地震力の入力を最小に抑えることにより、大地震時でも、オフィスに働く人々や家具等への影響を最小限とすることができ、安全で快適なオフィス空間の創出にも貢献している。

 

建築現場でのゼロエミッションをはじめ、既存杭や、既存の地下躯体を再利用するなど、さまざまな環境への配慮を行っており、CASBEE大阪で最高クラスの「S」を取得した(※)。

また、オリックスグループの環境事業とのコラボレーションにより、完成後は電気自動車用コンセントを設置。都市部のCO2排出削減に先進的役割を果たすことを目的としたヒートアイランド対策を全面的に採用し、「クールシティ中枢街区パイロット事業」の認可を取得している。

※CASBEEは、政府支援のもと、国際的な基準を目指して開発された建築物の環境総合性能評価システム。