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「働く人」=「WORKMAN」 建築の世界で働くさまざまな人を紹介していきます。




女性初の抜擢を「自分試し」と
前向きに取り組む

建築業界はまだまだ男性の多い世界。しかし、八塚さんは入社後1年目からマンション、工場、公団住宅、老人ホームなどの現場監督を担当、5年目には奥村組初の女性所長を務めた。

「現場は経験豊富な先輩や職人さんばかり。何にも知らない私に皆さんが一つずつ仕事を教えてくれました。女性だからという特別意識はありません。最近は現場でも増えていますし、私はトイレと着替える場所があれば問題ないですね」。
落ち着いて見える八塚さんだが、次は所長でと指示が入った時は大変驚いたと言う。
「女性第一号所長はいずれ誰かが担うこと。その点は意識せず、自分が試されるいいチャンスと思って取り組みました。実際、仕事が始まれば、最初こそ『自分が失敗したら後続がなくなるのでは』とプレッシャーを感じましたが、そのうち忘れていましたね」。
所長となって一番変わったのは視点だ。現場監督は、工事が円滑に進行できるよう取り計らうのが仕事だが、所長は発注者や設計事務所への対応がメイン。自然と言葉使いも丁寧なものに変化し、会社の代表であり現場の代表であるという意識から相当身も引き締まった。

愛用の色鉛筆で図面に指示を書き込む。 現場に出るときは欠かせない安全帯。 スキンクリームで手肌をケアする
女性らしい一面も。

現在、八塚さんは老人ホームの建築現場で現場監督をしている。
「大規模な建築も経験しましたが、大きいと取り組む人数も増え、現場を部分的にしか見られない。私は、小規模でも現場全体を自分で管理する方にやりがいを感じます」。
今後取り組みたいのは病院。レントゲン室など特殊な空間の建築を勉強したいと考えている。今までで一番の励みとなったのは、発注者からいただいた『いい物を作ってくれてありがとう』という言葉。それをこれからも聞けるようにがんばりたいとキリリとした顔で語った。

株式会社奥村組
西日本支社
松原老人ホームうえだ工事所
八塚 美穂さん

奈良県出身。京都大学工学部建築学科卒業後、2004年株式会社奥村組に入社。その後、マンションや福祉施設などの現場で現場監督を経験し、2008年10月から担当した物件で所長を務める。現在は、松原市の老人ホームで現場監督を担当中。

 

※動画によるメッセージがご覧いただけます。