ACe建設業界
2011年5月号 【ACe建設業界 創刊号】
ACe建設業界
いま、建設業界に
 求められていること、
 果たすべき役割とは
政策提言集団としての
 活動を
産業の中核団体として
 王道を歩め
フォトエッセイ
今月の表紙
目次
ACe2011年5月号>鼎談
 

[特集] 新会長・土木本部長・建築本部長鼎談

いま、建設業界に求められていること、果たすべき役割とは

 
 
 

4月1日にスタートした日本建設業連合会(新日建連)は、土木・建築が一体となった団体として、今後の建設業界にどのような役割を果たしていくのか。
野村哲也会長(清水建設会長)、中村満義土木本部長(鹿島建設社長)、山内隆司建築本部長(大成建設社長)にその考えを聞いた。

会員の賛同を得た合併
新日建連に課せられた使命とは
建設業の総力を挙げて社会の要請に応える



会員の賛同を得た合併

―三団体合併による「日本建設業連合会」誕生の経緯をお聞かせください。

公共工事の諸課題に関する意見交換会

平成7年から国土交通省の各地方整備局および北海道開発局との共催で行っている、「公共工事の諸課題に関する意見交換会」では、入札・契約制度の課題等、様々な議論を行う。

野村 これまで日建連、土工協、建築協で毎月行われていた理事会の議題の多くが重複していました。また、会員会社を見ても土木専業、建築専業というところは少なく、土木・建築両方の事業を行なっている会社がほとんどでした。そんな中、昨年3月に建築協の山内会長と土工協の中村会長から合併の相談を受けました。三者が一体になるのであればと、関係各位に打診をしたところ、ご賛同いただけたので、三団体の合併に向けて本格的に検討することになりました。長期にわたる建設投資の減少によって、会員会社の経営が厳しい中、三団体も運営の合理化を図らなければという考え方が一致したのだと思います。また、こうして短期間で合併することができたのは、会員各社のご理解とご協力はもちろん、土工協、建築協のそれぞれの会長をはじめ、三団体各事務局の皆さんのご努力のおかげであると本当に感謝をしています。

 長い歴史と多くの功績を残されてきた土工協、建築協の名前がなくなり、寂しいと思う方もおられるかもしれませんが、新団体では土木本部、建築本部として、それぞれの業績・専門性をさらに尊重し、活動していきます。

―新日建連の発足にあたって、土工協、建築協は発展的解散となりましたが、それについてどのような感慨をお持ちでしょうか。

中村 土工協会長に就任したのは、土工協、電建協、鉄建協、海洋協の四団体が合併し、新生土工協として新たな活動を開始した時でした。それから2年を経た今は、完全に一つの協会としてまとまることができたと実感しています。国、自治体、機構・事業団をはじめ、多くの方々の温かいご支援の賜物であると感謝しております。

 土工協は、昭和24年の設立以来、約60年にわたり、社会基盤整備を通じて安全・安心で快適な国民生活の実現と豊かな経済活動の基盤づくりに大きく寄与してきました。今回合併に至ろうとした矢先に、東日本大震災が発生し、新日建連は発足と同時にその復旧・復興に全力で取組むこととなりました。振り返れば、この状況は戦後復興の役割を担って土工協が発足した時とよく似ており、何かの宿命ではないかと思っています。これまで60年余にわたる土工協の活動で得られた厚い信頼と絆を決して絶やすことなく、新団体にも確実に継承していきたいと思っています。

山内 建設会社のほとんどが、建築事業と土木事業を営んでいます。歴史的な経緯もあり、これまで業界団体は、建築は建築協、土木は土工協と分かれて活動をしてまいりました。建築協は、昭和34年に設立され、今日に至るまで、建築業界で大きな役割を果たしてきました。

 しかしながら、建築と土木とを厳密に区分している国は日本くらいであり、また時勢の変化を踏まえれば、業界団体も建築と土木が一つになることは、自然な流れではないかと思います。

 昨年4月の建築協理事会において、初めて三団体合併についての報告を行った際も、理事会社の全社から賛同をいただきました。

国民が安心して安全に生活できるための環境づくりに最大限協力する
                                ―― 野村会長


新日建連に課せられた使命とは

―土木・建築が一体となったことを生かして、どのような協会にしていかれるのか、野村会長に初代会長としての抱負をお伺いします。

野村 責任は重いと思っています。業界団体として、個々の企業では対応が難しい事業環境や経営環境の改善等のテーマについて、言うべきことはきちんと言っていきます。そのためにも、まずは会員の皆さんの声にきちんと耳を傾け、課題をしっかりと把握することが大切です。その上で土木、建築の専門性を活かし、提言力・発信力を高め、会員各社にとってメリットのある活動を着実に進めていきたいと思います。

―新日建連のキャッチフレーズは「確かなものを 地球と未来に」とお聞きしていますが、新日建連に課せられた使命についてどのようにお考えですか。

野村 建設業は、国民生活の安全・安心の確保の役割の一端を担っています。この原点は国民の命を守ることであり、命を守ることができなければ、次の目標はありません。われわれは、この原点をいま一度思い起こし、国民が安心して安全に生活できるための環境づくりに、最大限協力していきたいと考えています。

―中村本部長に初代土木本部長としての抱負や今後のかじ取りをお伺いします。

中村 土工協時代と同じく、次の三点の基本理念を持って活動していきます。まずは『自助努力』です。「相手にお願いをする前に、まずは我が身を振り返り、自ら行動・努力してみること」が活動の基本です。二点目は団体が今やろうとしている活動・事業が本当に会員に必要とされているのか常に『自省』することです。三点目は、名実ともに建設業界を代表する団体であるという『自覚』をもって行動することです。産官学、異業種との連携にも真正面から取り組み、より発言力、実行力のある団体を目指します。

―具体的にはどのような活動を行っていくのでしょうか。

中村 土木本部としては、七つの委員会と一つの本部を土台として、新日建連の基本方針、建築本部からの要望や意見を的確に捉えた上で、役割を果たしていきたいと考えています。

 土木本部の第一の基本方針は、「東日本大震災の災害復旧に対する最大限の協力と安全・安心なインフラ整備に向けた技術的支援」です。

 第二は、「土木事業の継続的発展に資する活動」です。会員企業が更に事業を拡大し、収益を高め、企業として継続的に発展することが可能となるような情報提供、提言活動、環境改善に注力していきます。特に、「公共工事の諸課題に関する意見交換会」や地方自治体、高速道路会社、鉄道運輸機構との意見交換は土木本部の主要事業として継続・強化していくつもりです。

100万人の市民現場見学会

ダム本体建設現場(施工:鹿島・清水建設JV)で開催された「100万人の市民現場見学会」の200万人達成記念イベントでは、2002年のスタート以来参加者が200万人に達成したことを祝うと共に、参加者の拡大を目指してさらなる進展を図っていくことを誓った。

  第三は「積極的で分かりやすい情報の発信」です。「100万人の市民現場見学会」は、昨年に200万人を達成しましたが、今後は建築本部とも連携し、より高い目標を目指していきます。

―山内本部長、初代建築本部長としての抱負や今後のかじ取りをお伺いします。

山内 東日本大震災の発生により、われわれ建設業が果たすべき社会的な役割を改めて認識することになりました。何を最優先として取り組むべきか自問自答しましたが、「衣」「食」「住」の三大要素のうち、生活や産業の基盤である「住」の担い手として、国民の安全・安心のために、建築物の耐震性について強く発言していくことが重要だと考えています。1981年に施行された新耐震設計基準の前に建てられた建築物が全建築物の約3分の一を占めると推定され、耐震化の必要性について問題提起を行い、対応策を講じていくことが、建築に携わる者に求められている使命だと考えています。

―その他にはどのようなものがあるとお考えですか。

山内 日本の建設投資はピーク時の半分以下となり、建設業の就業労働者数も500万人を下回りました。この状況にどう対応していくかが問われています。短期の復旧・復興事業と中長期の構造的な問題点をすり合わせながら解決していくことが大きな課題となるでしょう。長期的に見ても、日本の建設投資が増えることは見込めません。これからは日本国内だけではなく、海外でも通用する建設会社になることが必要です。海外からは、日本の建設業に対する高いニーズがあります。それに対して日本の建設業がいかに対応していくべきか、業界団体として腰を据えて取組んでいくことが重要だと考えています。

技術開発能力と設計能力を兼ね備えていることが日本の建設会社の一番の強みです。この強みがあるからこそ、地球環境問題への提案や、建築主の多様なニーズへの対応が可能になるのであり、これからも、この強みを自覚して様々な分野に活かしていくべきだと考えています。

―「BCS賞」はどのように継続していかれますか。

山内 BCS賞については、当時の会員全社から賛成をいただき、これまでと同じ名称で継続することが決まりました。この賞は、供用開始後1年以上の建築物を総合評価によって選考し、建築主と設計者、施工者の三者を表彰することに特色があります。建築についてもストック型社会が到来する中、これからもこの賞の意義を広く訴え、さらに50年、100年と続けられるように努力していきます。

三つの基本理念 『自助努力』『自省』『自覚』を持ち、役割を果たしていく
                              ―― 中村土木本部長


 
   
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