会長等コメント

2014.01.01

平成26年年頭所感  建設産業の魅力向上と持続的な発展に向けて

一般社団法人 日本建設業連合会
会長 中村 満義

 平成二十六年の年頭に当たり、謹んで新春のご挨拶を申し上げます。

 昨年を振り返りますと、安倍新政権においては経済再生を最優先課題としていわゆるアベノミクスを強力に推進され、デフレ脱却、さらには本格的な景気回復に向けての国民の期待が高まりました。加えて、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催も決定され、久しぶりに明るい一年でした。
 建設業界におきましても、経済対策による公共投資の増加、緩やかではあるものの景気回復による民間投資の活発化など、長きにわたった市場の縮小にも変化が現れてきました。
 しかしながら、今なお東日本大震災の被災地では、約二八万人もの方々が仮設住宅などでの避難生活を余儀なくされております。
 また、台風や竜巻などの自然災害による被害も後を絶たず、十月には台風26号による大雨の影響で、大島町で大規模な土砂災害が発生して多くの犠牲者を出す事態となりました。東北地方や被災地域の復旧・復興は、建設業界の重大な使命であり、全力を挙げて対応してまいります。
 こうした中、昨年末には、いわゆる国土強靭化基本法が成立したところであり、老朽化したインフラの更新を含め、国民の安全・安心の確保に向けて、建設業への期待は一段と高まってくるとともに、東京オリンピック・パラリンピック開催に関連した施設整備も本格化してまいりますので、日建連といたしましては、これらの事業に会員企業の総力を挙げて取り組む所存です。
 一方、建設業界における現場力の低下、特に技能労働者の不足が懸念されています。
 これは、短期的には建設投資の増加に伴い需給関係にアンバランスが生じたことが原因であり、労務費の高騰等の状況を踏まえ、国土交通省において平成二十五年度公共工事設計労務単価の大幅な引上げを実施していただいたことは記憶に新しいところです。
 今日の状況について、日建連としては、バブル崩壊以来の長期間にわたる建設投資減少の過程において技能労働者の処遇が極度に悪化して、若年新規入職者が大幅に減少した結果、就業者の三人に一人が五五歳以上という高齢化が進展し、将来の建設産業の存続すら危ぶまれる状態になったものと考えております。
 建設業の持続的発展のためには、急激な人口減少、少子高齢化の進展の中で、他産業と競争しつつ若年労働者の入職を促進しなければなりません。
 デフレ経済からの脱却と持続的な経済成長の兆しが見え始め、建設業界を巡る状況が大きな転換点を向かえた今こそ、建設業全体が若者にとって魅力ある産業へと変貌するチャンスであると認識しており、社会保険の加入促進はもとより、若者の人生設計が可能となるような生涯賃金水準の確立、重層下請け構造の改善、女性の活用促進、教育訓練の充実等にも積極的に取り組んでまいります。
 また、我が国の建設市場は人口減少の影響もあり、中長期的には縮小傾向とならざるを得ないと考えられる中、新たな市場を開拓することも重要です。
 海外市場への進出のみならず、エネルギー分野、環境分野、PPP/PFIなどへの取り組みも強化していかなければなりませんが、日建連といたしましても、こうした取り組みを支援してまいります。

 以上、日建連は、本年も建設産業の魅力の向上と持続的な発展に向けての活動を展開してまいりますので、関係の皆様方のご理解とご協力を賜りますよう、お願い申し上げます。
 最後に、皆様のご健勝とご多幸を祈念して、年頭のご挨拶といたします。


以上