ACe建設業界
2011年9月号 【ACe建設業界】
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目次
ACe2011年9月号>世界で活躍する日本の建設企業
 

[世界で活躍する日本の建設企業]

ザンビア共和国 ンドラ市及びキトウェ市道路網整備計画

 
 
 
小林光則 (Mitsunori Kobayashi) 株式会社鴻池組 ンドラ市及びキトウェ市道路網整備計画工事
事務所 所長

工事目的

完成予想図

 ンドラ市及びキトウェ市は、銅輸出関連企業が多く集まる都市で、両市の道路整備計画対象道路は、工業地域、市中心街地域及び周辺住宅地域の補助幹線道路並びに区画道路です。

 これらの道路は、排水施設の不備、舗装の損傷、未整備の道路が多く、一般車両、公共交通のバス等が低速走行を強いられており、市内中心部への通勤、通学、通院等に多大な時間を要し、地域住民の生活の利便性向上に悪影響を与えています。両市の発展は首都の人口一極集中を緩和させるだけでなく、同国の経済発展にとっても極めて重要であるとの認識から、これら道路網を整備するものです。

工事所見

キトウェ市Miseshi道路。三面水路掘削の状況

  当プロジェクトは2010年1月中旬に着手、順調に工程を消化してきましたが、昨年11月3日より降り始めた雨が、今年4月10日まで続いたことにより、進捗に少なからず影響を与えています。また、追打ちを掛けるがごとく、2月上旬よりディーゼル燃料のエスカレーションに伴い、石材の価格が上がり、さらには、5月より現場周辺で新規の道路プロジェクトが始まりました。このことにより材料の調達にも障害が発生しています。しかしながら、このような逆風を跳ね返し、工事の品質を確保することが、発注者は勿論、地元の信頼に応えることになるため、職員、協力会社一同日々知恵を絞り施工にあたっています。


国や地域、街の紹介

キトウェ市Mulilakwend道路。三面水路の完了

  ザンビア共和国は、アフリカ南部に位置する内陸国であり、コンゴ民主共和国、タンザニア、マラウイ、モザンビーク、ジンバブエ、ボツアナ、ナミビア、アンゴラの八つの国に囲まれています。首都はルサカです。2010年に発表された世界平和度指数ランキングでは149カ国中51位(日本は三位)であり、アフリカでもっとも平和な国の一つとして評価されています。国名は、国の西部から南部を流れ、世界三大瀑布の一つと称される「ヴィクトリアの滝」がある「ザンベジ川」に由来しています。

 本工事の対象地域であるンドラ市及びキトウェ市は、ザンビアの重要な輸出産業の中核である銅やコバルトなどの鉱業が集中しているコッパーベルト州に属しています。キトウェ市は首都ルサカに続く人口第二の都市で、同国工業の中心地であり、多くの銅鉱山、銅精錬工場があります。また、ンドラ市は、ザンビア第三の規模であり、コッパーベルト州の州都です。ザンビアでは、道路は国際物流を含む物資や旅客輸送の重要な役割を担っており、経済発展の基盤にもなっています。しかしながら、両市の道路の現状は、排水施設の不備、舗装の損傷、未整備道路の多さにより、円滑で安定的な都市交通の確保ができず、鉱工業、商業、社会サービスの活動に支障をきたしています。今回の工事は両市の工場・商業地域の主要道路及び居住区から市内へのアクセス道路を中心に改修を行い、地域の経済活動を活性化することにより、同国経済が発展することを期待しています。

トピックス(技術面や国柄など)

ンドラ市Chambeshi道路。石積側溝施工の状況

  当工事の主目的は、キトウェ市で11.63km(14路線)、ンドラ市で12.73km(9路線)、計24.36km(23路線)の既設舗装道路の改善工事です。キトウェ市とンドラ市の現場は、約80km離れているため、それぞれに事務所、ベースキャンプを構えて施工しています。

 工事は、埋設物の試掘から始まりました。各路線において、道路表層近くに多数の電気、水道、電話等の埋設物があり、移設・撤去作業が一向に進まず、当初、進捗の大きな妨げとなっていました。排水工については、全延長35kmのうち約6割が石積側溝となっており、人海戦術で掘削、石積みを行い、舗装を追いかけるように施工しています。

  構造物としては、キトウェでボックスカルバート(内空3×4×3m、高さ3.5m、延長13.1m)の構築が一カ所あります。コンクリートミキサーに人力でセメント、骨材、水等を入れ、練り混ぜるわけですが、1バッチで0.263m3しかできないため、日本では経験できない長期戦となりました。また、施工中の鉄筋も、はずして盗まれる危険性があるため、夜間もセキュリティを付けて監視しています。  安全面においては、既設舗装道路の改善工事という特徴上、トレーラやトラック等の大型車輌を含めた通行車輌、通行人が非常に多く、片側交互通行や、一部分通行止めでの施工となり、第三者災害の防止対策が極めて重要です。そのような中、「Flag-lady」達が、緑と赤の旗を手に、日々交通誘導に活躍してくれています。

 現場での合言葉「今日も1日笑顔で元気良く! Safety First ナトデラサーナ!(ベンバ語で、ありがとう)」と共に無事故無災害での竣工を目指します。

 
   
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