前のページに戻る 2004/06/08
JV現場ネットワークの構築・運用に関する調査結果概要

1.調査目的

 現場における情報活用は、国土交通省の推進するCALS/ECの進展をはじめとする社会情勢の変化により、ますます重要な項目となっている。とりわけJV現場における情報活用は、情報活用環境の異なる複数の建設業者が共同で取り組む必要があるが構成企業間で共通認識を持つのに難しい状況にある。
 (社)日本土木工業協会と(社)建築業協会は、共同で平成13年に「JV現場ネットワークの構築と運用ガイドライン(初版)」、平成14年に「同(補足版)」を発行し、JV現場における情報活用のモデルとして業界内に普及を図ってきている。しかしながら、昨今の情報技術(IT)の発展やCALS/ECの進展により、『ガイドラインと現実とが乖離し、JVを構成する建設業者間で問題が生じている』との意見が複数の会員会社から寄せられた。
 今回の調査は、ガイドラインと現実の乖離について、その度合と乖離の真の原因を把握し、今後、業界としてJV現場の情報活用をどのようにしていくかを検討するための基礎資料とするために実施した。
 特に、今回の調査は、問題をより強く感じているJV構成会社の非幹事会社がJV現場でどのような問題が生じているかに重点を置いた。

2.調査概要

調査時期: 平成16年1月
調査主体: (社)日本土木工業協会 CALS/EC特別委員会CALS/EC部会
(社)建築業協会 IT推進部会
調査対象: (社)日本土木工業協会、(社)建築業協会 会員全170社(内重複74社)
管理部門1部、JVスポンサー土木建築各1現場、JV非スポンサー土木建築各1現場の3種5件を対象とした。
回答状況: 回答会社87社 回答率51.2%

3.調査内容

①現場数(管)
管:管理部門向けアンケートに記載
SP:JVスポンサー現場向けアンケートに記載
SB:JV非スポンサー現場向けアンケートに記載
②ガイドラインの利用について(管、SP、SB)
③JV現場の標準的ネットワークについて(管)
④JV現場ネットワークの維持管理(管)
⑤ネットワークに関するJV現場内での打合せについて(SP、SB)
⑥現場内でのPC利用状況について(SP、SB)
⑦JV現場でのウイルス対策について(管、SP、SB)
⑧JV現場ネットワーク構築運用に関するに当たっての問題点(管、SP、SB)
⑨「JV現場のネットワーク構築と運用ガイドライン」に関する意見(管、SP、SB)

4.アンケート結果

 以下に抽出された課題・問題点についての集計結果をのせる。

4−1.JVネットワーク構築サポート状況

①JV現場ネットワーク構築に関する社内標準のない会社が63%である。

②JV現場のネットワーク構築をサポートする組織が無い会社が52%である。

4−2.「JV現場ネットワーク構築と運用ガイドライン」の利用状況

①ガイドラインを知らない会社が多い(管理部門は知っているが、現場まで浸透していない)
・ガイドラインを知っている

管理部門 60社(69%)
スポンサー現場 30現場(17%)
サブ現場 25現場(14%)

②ガイドラインの利用に関しては、前質問で「ガイドラインを知っている」管理部門60社中37社(62%:全体で43%)が何らかの形で利用している。

1:JV運営委員会/施工委員会での雛型資料として
2:社内標準作成時の参考として
3:外注業者への指示書として
4:社内教育用として
5:その他

4−3.JV現場ネットワーク構築の実態

①ネットワークに関する事前打合せは、全体で59%の現場で実施されている。

②ネットワーク管理者に関しては、会社としては指導していないが、現場としては必要に応じ担当を決めているようである。

③インタネット接続に関しては58%の会社が直接接続を許可している。

④SBのインターネット接続関しては、自社独自回線・JV共通回線・SP会社の回線の順となっている。また、少数ではあるが、使用できないとの回答も13社(4%)あった。

     

⑤SBの自社イントラへの接続経路については、自社のイントラへは接続できないところが多くある。

4−4.ウイルス対策

①対策ソフトの導入はかなり進んでいる。

②ウイルス対策の日常的管理は、利用者に任されている状況である。

5.考察とまとめ

5−1.JV現場のネットワーク管理の現状

 JV現場のネットワーク管理は、業界として最低限守っていきたいルール、効率化を図るために協力していきたいモデルに対して、十分に達成できていない状況にある。その原因は、現場の権限者や利用者がネットワーク管理の重要性を十分に理解していないこと、ITの専門部門を持たない会員会社の知識レベルが現在の技術レベルに追随できていないことが上げらる。
 当初懸念されていたSB構成員が特別に不公平であるような状況は見当たらなかったが、技術的な方法に対応できずネットワークに参加できないといった例が散見された。
 よって、JV現場におけるネットワークの構築に関しては、JV運営委員会で議題にするなどITの専門家以外の方にも理解を深める活動が必要である。

5−2.JV現場ネットワークガイドラインについて

 業界のモデルとしてガイドラインを策定し、配布・教宣して来たが、その認知度は思いの他低いことがわかった。また、活用に至ってはさらに低い状況である。その原因は、広報方法の問題、ガイドラインの読み手が明確でない編集方法などが上げられる。
 一方で、各社が拠り所とするルールやモデルがないと、今以上に混乱を招く恐れがあり、ガイドラインの策定は、共通の利益をもたらす意味からも重要である。
 よって、ガイドラインを活用しやすい形に再編集し、広報活動を工夫して業界内に普及させることが必要である。

5−3.ガイドラインの内容について

 ガイドライン策定時点では、「インターネットへの接続は社内ネットワークを経由する」形態を推奨していたが、実態として「インターネット直接接続」を思いのほか多く利用していることが判明した。ガイドラインの価値が薄れないように、こういったガイドラインの策定方針と現実のギャップを解消するため、技術の発展に合わせて、検討・改訂する必要がある。

5−4.ウィルス対策について

 ガイドラインをはじめ、各種の教宣活動により、ウィルス対策ソフトの導入は、かなり達成できている。しかし、導入後のフォロー、たとえばパターンファイルの更新などは、まだ十分に実施されておらず、現場のウィルス感染の危険度は依然として高い。現場の利用者に対して、ウィルスの危険度を十分に知らしめ、導入だけでなくその後の運用も確実に実施する習慣を確立することが必要である。

6.今後の取組み

(1) ガイドラインを現在の技術レベル、運用レベルに照らして見直し、改訂版を発行する。その際には、読み手を意識した編集とし、出来るだけ事例などを提示して、専門家以外の人でも活用できるようにする。
(2) ガイドラインをより多くの関係者に普及するため、HP掲載や配布だけに留まらず、露出度を多くする取組みを実施する。特に、現場運営に携わる人たちへの宣伝活動を盛り込む。

7.参考資料

以上

社団法人 建築業協会
〒104-0032 東京都中央区八丁堀2-5-1
         東京建設会館8階
TEL:03-3551-1118 FAX:03-3555-2463
E-mail:bcs_cals@bcs.or.jp
社団法人 日本土木工業協会
〒104-0032 東京都中央区八丁堀2-5-1
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