耐震診断とは

2. 耐震診断の流れ

耐震診断は、まず予備調査として建築物の概要や設計図書の有無及び建物使用履歴の確認、診断に必要な情報や資料の収集を行い、診断計画の立案をします。

次に現地調査を実施し、その結果から耐震性の検討・評価を行います。どのような調査を行うかについては、建物の規模・重要度、調査の可否などを考慮し、診断レベルに応じて診断者が適切に設定します。

耐震診断実施後は必要に応じて耐震補強案及び概算工事費等を検討します。

耐震診断のフロー

予備調査

予備調査は、耐震診断に必要な建物の基礎資料を得ることを目的としています。

  • 建物概要(所在地、用途、設計者・施工者、設計年、竣工年、延床面積、建築面積、階数、構造種別、基礎形式、仕上げ等)
  • 関係書類(確認申請書類、検査済証、設計図書(特に構造図)、構造計算書、地盤調査資料等)
  • 使用履歴(現在の使用状況、増改築、改修、被災履歴、用途変更等)

現地調査

現地調査は、直接現地に赴き建物の現況を調査するもので、目視による劣化調査や図面照合及びコンクリート強度試験・中性化試験等の調査を行います。

  • 外観調査(ひび割れ、不同沈下、エキスパンションジョイント等)
  • 材料調査(コンクリートコア採取による圧縮強度・中性化深さ測定等)
  • 図面照合(柱・梁や壁の断面寸法及び位置、壁の開口寸法、増改築による壁や開口等の変更)
  • 敷地内及び周辺の状況(地盤種別、がけ、敷地の傾斜等)
  • はつり調査(構造図が無い場合に柱、梁、壁等の鉄筋径・本数、鉄骨のサイズ等を調査)
コンクリートコア採取状況

コンクリートコア採取状況

中性化深さの測定例

中性化深さの測定例

耐震診断

耐震診断は、予備調査及び現地調査の結果を踏まえて、建物が保有する耐震性能を評価し、現行の耐震基準と比較して判定を行うことで、各種基準や指針等に準拠して行われます。すなわち、既存建物の大地震時における耐震安全性を評価し、補強の要否を判定することです。

また、耐震診断は、構造設計のできる一級建築士事務所等で耐震診断の手法に精通している専門家に委託します。