事業計画

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基本方針

 昨年4月の3団体合併により発足した新日建連は、昨年3月11日の東日本大震災の発災と同時に事実上活動を開始し、被災者支援と応急復旧に始まり、被災地域の復旧・復興という未曾有の重い課題を背負っての船出となった。

 東日本大震災からの復旧・復興が我が国の最優先課題であることは言うまでもないが、我が国は現在、人口減少・高齢化という社会構造の大転換期にあり、極めて悪化した財政の立て直しと同時に持続可能な社会保障制度の構築が待ったなしの状況となっている。
 加えて、国内的にはデフレと産業の空洞化が進行し、雇用状況が悪化する一方、国際的にも、急激な円高、欧州の金融不安、米国、中国等の経済の先行きへの懸念など、かつてない緊迫した経済情勢に置かれている。

 

 建設業の市場動向については、復旧・復興対策や全国防災を盛り込んだ四次にわたる補正予算及び24年度予算と民間需要の持ち直しにより、リーマンショックと公共事業費の急激な削減による市場縮小には一応の歯止めがかかったものと受け止められよう。
 しかしながら、受注競争の激化により安値受注が常態化していることに加え、復旧・復興需要の増加により労務単価、資機材価格の上昇が懸念され、復旧・復興関連の事業も採算的にリスキーであって、建設企業の経営環境は、楽観視できる状況にはない。

 このような状況下、日建連は内外の諸情勢の変化に的確に対応しつつ、安全・安心な国土づくり、グローバル競争への対応、低炭素社会の実現等、様々な観点から幅広い活動を行っていく。
 同時に、会員企業が事業活動を円滑に進められるように、市場環境の改善に向けた関係方面への働きかけや、持続可能な経営に向けた会員企業の活動の支援を行う。

 日建連は、新団体として2年目を迎える今年度は、事業の一層の効率化を進めるとともに、特別委員会の設置、全国9支部の運営の合理化等、団体組織をより強固かつ透明なものとしたうえで、平成25年度の法人形態移行に向けて所要の手続きを進めていく。

 このような認識の下、平成24年度は以下の10点を最重要課題と位置づけ、その実現のために、「2.」以下に列記する236項目の活動を26の委員会(別紙)の下で実施するとともに、9支部において「6.支部活動」に掲げるとおり地方展開を要する活動を実施する。


1.東日本大震災からの復旧・復興及び原発事故対策の推進と災害対応体制の強化
 東日本大震災及び福島第一原発事故で被災した地域の復旧・復興は、今後当分の間、建設業界がその総力を挙げて取り組むべき国民的課題である。
 日建連は、特別の検討体制を整備し、中期的、総合的な視点に立ってこの課題に対処することとした。
 このため、24年度においては、震災からの復旧・復興と原発事故対策の事業を実施する上での合理的な契約方式のあり方、労働力、資機材の確保、国、地方自治体等との効果的な連携確保方策などの諸課題に関する検討と調査研究を実施するとともに、国、地方自治体等に対して提言、要望活動を実施する。
 また、東日本大震災時の経験を踏まえて、日建連における支部を含めた災害対応体制の一層の強化に努める。

2.公共投資、社会資本整備の推進
 東日本大震災をはじめ、近年の大規模自然災害の頻発を背景に、安全・安心な国土づくりへの国民の要請が高まっており、多重防御による防災・減災対策を含めた「全国防災」の積極展開が強く求められている。
 また、大都市の再生や国際競争力の強化等、我が国の成長促進に向けた社会資本整備の推進や、当面する輸出不振を補う内需による経済対策のためにも、公共投資の推進が欠かせない状況にある。
 日建連では、これら真に必要な公共投資、社会資本整備の推進と諸事業の早期実施に向けて、提言、要望活動を実施する。
 同時に、PPP・PFI等、社会資本整備の推進手法に関して、PFI法の改正も見据えつつ、引き続き検討を進める。

3.建築宣言の理念に立った優良な建築ストック形成等の推進
 日建連では昨年度、新団体の発足を機に我が国の建築物と建築活動に期待される役割を明示し、今後の建築分野の日建連活動の基本理念とする「日建連建築宣言」を策定した。
 今後、本宣言の理念に適った優良な建築ストックの形成を目指して諸活動を推進する。
 特に、「建築・街づくりにおける安全・安心の確保」及び「建築物のエネルギー消費量の削減」は最も重要なテーマであり、既存建築物を含め、その推進に向けてハード・ソフト両面から検討に努める。
 また、建築・まちづくりの進め方全体を見直す動きもある中で、建築関係団体との連携による提言等幅広い活動を展開するとともに、建築活動の前提となる建築基準法、建築士法の改正の動きについても、同宣言の理念に即して的確に対応していく。
 一方、今後のわが国の成長を考えるとき、都市政策、特に大都市の再生は不可欠のテーマであり、市街地の安全性の向上や、国際的視点を踏まえた都市戦略の確立に向けて都市・地域政策に関する検討を行う。

4.総合的な環境問題への対応
 地球温暖化対策や循環型社会の構築、生物多様性の保全は、一国の問題にとどまらず地球規模の喫緊の課題となっている。
 これらを中心とする環境問題への対応は、国内においても全産業共通の重要課題であり、特に東日本大震災に伴う電力不足により、エネルギー多消費型社会からの転換が急がれている。
 24年度においては、「建設業の環境自主行動計画 第5版」を策定するとともに、構造物の企画設計段階、工事の施工段階、建物運営段階、更には解体撤去段階とライフサイクルを通じた総合的な環境対策を推進する。

5.建設技能者の確保・育成
 建設技能者については、新規入職者の減少と高い離職率により高齢化が進んでおり、建設業の将来を担う若年技能者の確保・育成が喫緊の課題である。
 日建連では、日建連が21年4月に取りまとめた「建設技能者の人材確保・育成に関する提言」をベースとして、優良技能者の処遇改善や労働環境の改善等の実現に向けた種々の施策を実施してきたところであるが、24年度においては、社会保険未加入対策についても取り組むこととし、引き続きその推進を図る。

6.技術開発とその活用の促進
 多様化、高度化するニーズに対して高い品質でこれに応えることは建設業の基本的使命であり、これを的確に果たすため、各社は技術の開発・改善に努めている。
 日建連はこの取り組みを支援するとともに、技術の活用促進に向けて、法制度に関する要望・提言、技術に関する基準やガイドライン等の策定・普及等、環境の整備に努める。

7.対等な契約関係の確保に向けた取り組み
 公共工事の契約について、総合評価方式等の制度面の改善に向けた検討を進めるとともに、低入札対策の充実及び適正利潤の確保に向けた調査研究を実施する。
 また、これらの活動成果を踏まえつつ、公共工事発注者との意見交換等を通じて諸課題に関する発注者側の認識、理解を促すなど状況の改善に努める。
 民間工事の契約については、民間工事標準請負契約約款の普及促進を図るとともに、設計施工契約約款の普及、近年特に顕著となってきた片務性の解消に向けた取り組み等を行う。
 また、契約についての基本法典である民法の改正の動きについて、引き続き的確に対応する。

8.建設業の国際展開の推進
 我が国建設業の施工技術を国際的に展開するために、海外市場への進出は有力な選択肢の一つであり、政府も支援の強化を図りつつある。
 日建連は、国に対する支援強化の要請等について海外建設協会と連携して、国際展開の推進に向けた環境整備に取り組む。
 またTPP、EPA等、建設業にも影響が及ぶ国際的な経済連携の動きについても、建設産業の活性化の観点から的確な対応を図る。

9.適切な企業行動の実践
 企業行動に関する社会の評価が厳格化する中、良き企業市民として社会との共生に努めることは、今後の企業の健全な発展に不可欠なテーマである。
 日建連では、コンプライアンス・CSR重視の企業経営の推進に向けた会員の取り組みを支援することはもとより、大規模地震発生時の応急復旧など建設業ならではの社会的役割、適切な企業行動に関する基準やガイドラインを定め、会員の実践推進を図っていく。
 同時に、団体としても、会員の協力を得て社会貢献活動の実践に努める。

10.建設業に対する社会の理解促進
 建設業は、生活や産業活動における安全で安心な環境の確保、持続可能で活力ある経済社会の構築等に向けて建築物や構造物を提供するとともに、自然災害発生時には被災地において復旧・復興の実働を担う、わが国の基盤を支える基幹的産業であることについて、国民的な理解を醸成する必要がある。
 日建連では、種々の媒体を活用して、建設業界の意見や主張の発信を効果的に行うとともに、建設生産や建設構造物の魅力や意義について強くアピールするために、一般市民、学生、子供等、国民各層に向けて、広報活動を積極的に展開する。
 また、社会の要請に応え、業界団体として、工事現場における安全・衛生の確保や公衆災害防止の対策を着実に推進することとし、建設業のイメージ向上に向けて、その活動を積極的にアピールしていく。

 以上、建設業が置かれる現状の認識と、24年度における重要課題への対応の基本的方向を示した。

 これらのほかにも対応すべき課題は多いが、諸活動の実施に当たっては、常に会員の総意と社会一般の意見を尊重し、内外に開かれた運営を行う。 なお、公益法人制度改革への対応として24年度早期に新法人への移行申請を行うとともに、より円滑かつ効率的な団体運営を確立するため、事業活動の総点検と、合理的な会費制度の整備に向けた検討を行う。